各診療部門紹介
心臓血管外科

心臓血管外科
大西 裕幸
平成4年 佐賀医科大学卒業
心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医、心臓血管外科修練指導者
日本外科学会専門医、日本外科学会指導医
日本循環器学会専門医
日本心臓血管外科 国際会員
医学博士
平成24年4月より当院に勤務させて頂くことになりました大西裕幸です。
当科では血管外科手術に加えて、透析内科三谷医師、泌尿器科中村医師らと連携して慢性腎不全の血液透析管理も行っており、内シャント手術、シャントPTA(経皮的血管形成術)なども行っております。
その他の血管外科手術については閉塞性動脈硬化症や下肢静脈瘤などの疾患を対象に手術を含めた治療を行っております。特に下肢静脈瘤については近年普及しつつあります血管内レーザー治療を平成24年12月より導入しており、より低侵襲な治療を目指して、今後積極的に取り組んでいきます。
治療について
下肢静脈瘤について-血管内レーザー治療をご存知ですか?
最近、下肢静脈瘤に対しての新しい治療法として血管内レーザー治療が平成23年から保険適応となり、脚光を浴びておりますが、平成24年12月より当院でも血管内レーザー治療を導入いたしましたのでご紹介させていただきます。
まずこの下肢静脈瘤という病気について説明いたします。下肢静脈には筋肉の中を走る「深部静脈」と皮膚と筋肉の間を走る「表在静脈」があり、静脈瘤ができるのは皮膚に近い伏在静脈と呼ばれる表在静脈です。下肢の静脈には血液が重力によって足先へ逆流しないように弁がついていますが、それらの弁が壊れると血液に逆流が起こり、うっ血が生じて血管が拡張し、蛇行することにより、コブができます。これが下肢静脈瘤です。
症状としては足の静脈がコブ状になり、かゆみ、皮膚炎、皮膚が黒くなる、潰瘍ができる、だるい、重い、疲れる、こむら返り(足がつる)などです。
血管内レーザー治療とは?
治療する静脈の中にレーザー光を導くための細い光ファイバーを通し、血管内に照射されたレーザーの熱によって静脈を塞いでしまう方法です。以前から標準的に行われているストリッピング手術は、太ももの悪くなった静脈を手術で取り除きますが、血管内レーザー治療は血管の中から静脈を塞いで血液を流れなくしてしまいます。レーザー治療の最も良い点は、一言でいうと、身体に優しい治療です。従来のストリッピング手術では足のつけ根と膝の2ヵ所を切開しなければならないのに対して、レーザー治療では1ヵ所に細い針を刺す方法、もしくは数ミリの切開で治療することができます。

メリットは短期間(当院では1泊2日)で行え、手術の傷跡は1ヵ所で目立たないことです。デメリットは一時的に痛み、つっぱり感、皮下出血などが起こることと、新しい治療法であり日本での長期成績がでていないことです。
ふとももの静脈瘤はレーザー治療でほぼ消失しますが、ふくらはぎの静脈瘤は縮小はしますが、静脈瘤が残るため、この部分はレーザー治療をする時に、特殊な器具を使って2mm程度の傷から静脈瘤を取り除いてしまいます(スタブ・アバルジョン法)。スタブ・アバルジョン法による傷は非常に小さいので、痛みはほとんど無く、傷跡も目立ちません。
手術の際の麻酔にはTLA麻酔(膨潤麻酔)と言われる希釈した局所麻酔薬を100~200ml程度ふとももの静脈瘤の周囲に注入します。この麻酔の目的は、鎮痛(持続時間が長く続く)、皮膚や静脈瘤周囲の熱傷予防、焼灼する静脈瘤の内径を減少させて確実な静脈焼灼を行うことです。しかし数か所の麻酔針での穿刺が必要で、ふくらはぎにも局所麻酔でスタブ・アバルジョン法を行いますので、手術の際の痛みを避けるため、当院では麻酔科医による静脈麻酔(眠っている間に手術は終了します)を併用しております。
足の静脈がコブ状(下肢静脈瘤)になっている方は心臓血管外科外来(木曜日午前または午後)にご相談ください。外来にて診察、下肢静脈瘤のエコー診断を行い、治療が必要かどうか、治療法などを説明いたします。